設立者からのご挨拶

 財団法人設立者である弁護士法人プロフェクト法律事務所の大谷哲生です。
このたび、一般財団法人プロフェクト大谷司法支援基金を設立することとなりました。
同財団では、刑事弁護に対する支援のプロジェクトを行います。

 私は、これまで数十年の弁護士生活で、消費者向けリテール業務や渉外事件を取り扱ってきて、一般的な事件にはほとんど関わることができませんでした。初老といわれる域に入り、海外で生活することも多くなり、事件処理に直接に関与することは難しくなりつつあります。ただ、何らかの形でお世話になった日本の司法界に微力を尽くす術はないかと思っていました。
そうしたときに、日本の刑事訴訟を刷新したいという人たちとご縁ができ、刑事弁護の支援や刑事弁護人の育成などに、資金が必要という話を聞きました。私自身、いわゆる人質司法や死刑制度が、いまなお存続している日本の刑事司法制度には大きな問題があると、かねがね思っていたので、興味を持ち関わるようになりました。

 そこでは、次のようなことを知りました。
一旦起訴されるとその無罪の「立証」には膨大なエネルギーが必要となること、
その弁護活動では、並外れた知識と経験と能力、技術が要求されること、
何より、被告人のためにできることは全て行うという「覚悟」が要求されること、
それゆえ、多くの一般的弁護士はそうした事件に携わることは実際上困難なこと、
優秀な刑事弁護士の育成が、この国の将来の刑事司法にとって重要であること、
その育成のためには、刑事裁判の現場で、優秀な刑事弁護士と協同して活動を行いながら学ぶということが効率的であること、
そして、刑事弁護活動では、多額の資金が必要となり、多くの場合、弁護人らが手弁当で驚くほどの負担をしていること。

 志を一にする弁護士らが長期にわたって議論し設立の趣意や仕組みなどに思いを巡らし、どのようにするのが現状の打開に最も有効かを考えました。その結果、今回のプロジェクト形態にたどり着きました。
弁護活動における費用の負担や刑事弁護人の育成など、継続的に事業として行うためには、少なからぬ資金が必要となることが予測されます。そうした資金を提供していくことが、今後の私の役割であると考え、これを引き受けました。

 無罪に向かって争うなかで資金に困られている先生方、あるいは、弁護を引き受けたものの困難に遭遇し、日本有数の刑事弁護士のサポートを希望されている先生方らは、一度、当プロジェクトに連絡してみてください。あなたの被告人にとっても、あなたご自身のキャリアにおいても、新しい解決策と世界が開ける可能性があります。

 刑事弁護の世界と全く無縁だった私に、かようなプロジェクトに関わる機会を与えていただいた著名な刑事弁護士の皆様に深く感謝いたします。
このプロジェクトの活動が、刑事弁護の分野に一石を投じることなれば、設立者として、これに勝る喜びはありません。